合金鋼とは?特徴や種類・用途などの基礎知識を徹底解説
鋼材は、種類や元素の量により「炭素鋼」「合金鋼(特殊鋼)」「鋳鉄」の3つに分けられます。
その中の合金鋼は、キッチンや自動車など身近なものにも利用されておりますが、添加元素により特性が変わるというデリケートな性質をもちます。
そんな「合金鋼」の特徴や種類・用途などについて、本記事では解説いたします。
合金鋼とは?
「合金鋼」とは、炭素鋼に一つまたは数種の合金元素を添加してその性質を改善し、種々の目的に適合するようにした鋼のことで、実務の現場では特殊鋼とも呼ばれています。
合金鋼は、鋼の5大元素と言われているもの、すなわち、炭素・シリコン(ケイ素)・リン・マンガン・硫黄の5種類の元素以外に、ニッケルやクロム・コバルトなどを添加して、その性質を改善しています。
合金鋼の特徴
合金鋼は、加える元素の種類や割合により、強度や硬度・粘り強さなどが変化します。
合金元素を添加することによって、機械的性質や物理的性質、化学的性質などが変化し、使用目的に適応した鋼を得ることができるというわけです。
ただし、炭素鋼に比べて高価であり、また寸法や形状などのバリエーションが少ないため、炭素鋼を用いることが厳しい場合に検討すべき鉄鋼材料です。
合金鋼は総量割合により、以下3つの種類に分けられます。
◇1.低合金鋼
◇2.中合金鋼
◇3.高合金鋼
上記3つの種類は、元素の含有率により区別されます。例えば元素の含有量が5%以下のときには、低合金鋼。5%~10%のときには、中合金鋼。10%~の際には、高合金鋼というように区別します。
合金鋼の種類
合金鋼の意味は幅広く、耐熱鋼などの特定の機能を持つ高機能鋼や、高張力鋼(ハイテン)などの高強度鋼、マンガン鋼やニッケル鋼などの特定の元素を多量に含む鋼なども合金鋼です。
よく知られたステンレス鋼も合金鋼に含まれます。
したがって、その特徴は合金鋼の種類によって大きく異なり、耐食性や耐熱性が高いものや高い強度を持つもの、加工性が良いものなどと様々です。
代表的な合金鋼の種類とその特徴は、次のとおりです。
ステンレス鋼(SUS材)
鋼は最も身近に使われている合金鋼と言って良いでしょう。
さびにくく、耐食性に優れた性質を有しています。
合金元素としてクロムやニッケルを添加した合金鋼で、主成分によって大別するとクロム系とクロム・ニッケル系に分けられます。
クロムの含有量が10.5%以上の鋼と定義されているため、高合金鋼に分類されます。
高張力鋼(ハイテン鋼)
特に高強度のものでは1000 N/mm2を超えるものもあり、超高張力鋼と呼ばれます。
主な合金元素としてケイ素やマンガンを添加した合金鋼で、引張り強さ以外にも靭性に富み、圧縮に対する優れた耐性を有しています。
高圧容器や橋梁、船舶や鉄道車両、自動車のボディなどの多種多様な用途に用いられます。
自動車用途においては、高強度の分だけ板厚を薄くできるため、軽量化、燃費向上に役立っています。
合金工具鋼
合金工具鋼といいます。これらの元素を添加すると、耐熱性や耐衝撃性が向上されます。しかし、硬度も高いので加工には優れていないという特徴があります。
そのため合金工具鋼には、工具の用途別に、特性を調整する必要があります。例えば耐衝撃工具用に加工するには、耐衝撃性を重視して調整します。
高速度工具鋼
鋼はモリブデンやタングステンを添加された合金鋼です。ハイス鋼とも呼ばれます。切削性に優れていて、包丁やハサミなどに使用されることがあります。高い耐摩耗性のある高速度工具鋼は、精度を上昇させようとすると加工が難しくなるという特徴があります。
超硬合金
超硬合金とは、きわめて硬い合金です。硬いだけでなく、強度や弾性にも優れ、高温時の硬度低下が少なく、磨耗しにくいという特性があります。ドリル、フライス、旋盤など金属加工用の切削工具に使われます。
コバルトや炭化チタンなどの粉末を焼結することで作られます。
4.まとめ
合金鋼のポイントをまとめると、以下のようになります。
・合金鋼は加える元素の種類や割合で強度や硬度・粘り強さが変化する
・添加元素の多い合金鋼であれば良質な性質となる
・合金鋼は総量割合により、低合金・中合金鋼・高合金鋼に分類される
・元素含有量が5%以下の際には低合金、5%~10%の際には中合金鋼、10%以上の際には高合金鋼のように区別する
・合金鋼の代表的な種類には、ステンレス鋼・ハイテン鋼・合金工具鋼・高速度工具鋼・超硬合金などがある
合金鋼は、身近なものにも使用されている素材です。材料の特性を理解し、上手く活用しましょう。
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